SSブログ

終わりの始まり⑨ [記憶のカケラ。]

(終わりの始まり⑧のつづき)

さて、日を追うごとに中庭のゴキブリともすっかりうちとけ、そこの家の雰囲気や町の様子がだんだんとわかってきました。

グァテマラの旧首都だというその町は、こじんまりとしていて、その外周を歩いたとしても丸一日はかからないんじゃないかな?

でこぼこの石畳、市場の近くの道は未舗装。

車は少なく、とりわけ自転車はとても珍しい存在でした。

原住民のインディヘナたちはそれぞれの民族衣装でかっ歩しています。
その中に教科書類をバンドで留めて小脇に抱えた女学生風の子たちがいて、きゃっきゃと会話している様子が印象的でした。明るい笑顔・・・。

観光・・というよりはスペイン語を学ぶために立ち寄ったいろいろな国の人たちが沢山いるようです。

町の真ん中には大きなカテドラルとパルケ(公園)がありますが、日本とは様子が違います。

子供用の遊具などはないし、そこかしこに設置されたベンチには昼間っから地元民(男性)がひしめいています。

木陰で織物をしているインディヘナ、大きな寸胴鍋にいっぱいのゆでトウモロコシを売ってる屋台、日によってはおもちゃやアクセサリーを売ってる人なんかも。

おもによそ者ではない人たちが憩う場所、といった風情です。

カテドラルに面した、おそらくその町唯一の銀行の入り口には、マシンガンをもった警備員が必ずにらみをきかせています。時々トラベラーズチェックを換金するためにそこを通るのですが、いつもにぱっと笑いかけてくれます。


色あせた時計台、民芸品市場、大きなカフェテリア、電話局(一般には携帯電話が普及していない時代でしたので、電話をかけるのにここを使ってました)、小さな小さな映画館、チョコレートケーキがおいしいナイショのお店、廃墟となった教会、共同洗濯広場、薄暗い蛍光灯の中華料理店、自称日本料理店、いろんな匂いのする迷路のようなメルカド(市場)と食堂、トラックいっぱいの軍払下げ古着市、甘いパン率が高いパン屋さん、ほとんど電気をつけないスーパーマーケットという名のよろず屋、観光客しか来ない飲み屋、いつも暇そうな郵便局、夕方のスコール、、、、

そして、
いつかここから帰らなければいけないと、見るたび苦しくなったバス停。


誰も知らない、何も知らない、何も考えない、何の不安もない、何も怖くない、私がどこの誰かなんてどうでもいい。
今まで味わったことのない気持ちをこれ以上どう表現していいのかわかりませんが、何かが自分から出て行った感じ?

あ、ニュートラルに戻ったのかも。




終わりの始まり⑩へつづく。。。






タグ:グァテマラ
nice!(15) 

nice! 15

つい最後まで。ブレスレット-326 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。